ひとつの区切りと、新たなる船旅へ

73回目の終戦の日、2018年8月15日。
初年の8月15日も太平洋戦争の実日数である1348日間をも越え、6回目の夏を迎えた艦これは、第1期としてのクローズを迎える。

プレイ開始は初年の秋イベ直前だった。本当に始めた直後に期間限定イベントが来たので戦力的には全くどうこう出来る状態ではなくこの時はまるっとスルー。期間限定イベントをまともに取り組んだのは次のアルペジオコラボからになった。所属は当初のパラオ泊地から先日の大規模異動により呉鎮守府へ。ケッコンカッコカリを行ったLv100越えは52隻、Lv90以上は140隻。イベント海域のたびに要求される艦は変わってくるため足りている気はせず、育成と装備の手入れはこれからも続く。

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艦これはゲームの仕組みとしては極めてレガシーである。
10年以上前のものを踏襲していると言って良い。日頃のすることと言えば大体Lv上げなんていうのは昔のRPGやMMOそのものであり、特にそれをショートカットする手段も用意されていない。いわゆる時間をかけることを避けられないタイプと言える。
比較的淡々とした日々の積み重ね。それを承知の上で5年も続けるに至るキモはどこだったのだろうかと考えれば「ゲームをフックにして現実に向かうこと」というのが、自分にとっての理由だったのだと思う。

この点に関して艦これは一切ブレていない。ガチャで課金を煽ることはせずに関連商品群等で売上を出すという仕組みからしてゲームの外を向いているし(ゲーム内課金がDMMの取り分になるから、という事情はあるかも知れない)、オフラインイベントでは「印象に残るものを」という切り口を突き進めた結果、変わり種とも言えることを色々やってきた。
例えば2017年の4月1日には突如「原寸大瑞雲を作ります」と告知し、日付が日付だけに誰も信用していなかったのに本当に作って富士急ハイランドに置いてみたり、翌年2018年には同じく4月1日に「20分の1航空戦艦を作る」と告知して、本当によみうりランドに設置している。あんなでかいのどこにしまっているんだろうか。

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その独自路線は新たな可能性を求め、2018年7月には構想3年というビックプロジェクトとしてアイスショーが開催された。そこには伊藤みどり無良崇人と言ったレジェンド級スケーターがスペシャルゲストとして名前を連ね、幕張のイベントホールを特設リンクとして氷を張る、完全に本格的なアイスショーがあった。誰がそこまでやれと言った。

このアイスショー、本当に凄かった。凄かったというか実現していたことが公演を終えた今でもなお奇跡で幻のようだ。
メインスケーター陣が単縦・複縦・輪形といったおなじみの陣形を組む。そして文字通り流れるように変化させ、リンク全面で艦隊戦を次々に繰り広げる。同航もあれば反航もあり、7隻編成もあれば連合艦隊もやる。演習もあればケッコンカッコカリもあるし、プロジェクション駆使しての航空戦まで演出してみせる。輪形陣ではちゃんと中央に空母が来る。
スケートリンクを海に見立てての演技は、正に「これが最も見たかった艦これ式の海戦」そのもの過ぎたのだ。

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艦これ的には最もリスキーとされる提督像の提示については、アイスショー開催前の雰囲気としては明らかに不安の様相が漂っていた。艦これにおける提督はプレイヤー自身でその姿は様々であるからこそ、公式に提督像を示すとイメージが固定化される。だから極力そのものずばりを避けてきた。
そんな不安は、唯一の男性スケーター・無良崇人による圧倒的な演技と立ち振舞で見事に吹き飛ばしてみせた。1日目はトリプルアクセルにも成功しており、大技を決めるたびに会場にどよめきが沸き起こる。
このアイスショー「艦これ氷祭り -氷上の観艦式」は、艦これサイドのファンのみならず、アイススケートファンからも「スケートショーの新しいかたち」として高く評され、双方のファンが絶賛という見事すぎる成果を残すこととなった。その模様は新書館アイスショー世界5」にてレポートされているので、ぜひ手にとって頂きたい。


しばらくあまりしていなかった旅行を再びするようになったのも艦これがきっかけだった。横須賀は近すぎるので旅行とは言わないとして、呉は2回、佐世保舞鶴にも1回ずつ。そしてこのエントリが投稿されたタイミングでは小笠原諸島にいる。小笠原には30年前に一度行っているが、あまりにも生々しく残る戦跡が当時11歳の自分には怖すぎて、きちんと見ることが出来なかった。今回はしっかり見たい。
この他、三越コラボがたびたび繰り返されては地方に良いものを提供するところがあるんだと知り、在りし日はどのようであったかと家には紙の資料が増え、つまるところ艦これのおかげで「なんだか色々とリアルが充実している」のである。ゲームをフックに新しいことをいくつも知ることが出来ているのだ。そりゃあ、楽しい。

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リアルを含めての「新しいことを知っていく」が続ける原動力である一方で、ゲームそのものが全く用無しかと言うとそんなことはない。
艦これは作りがレガシーであるだけに、その構造はシンプルだ。連合艦隊や先制対潜、基地航空隊、熟練度や改修と言った具合にシステムに手は入れ続けられているが、それでも全体的には未だテンポが良いと言える。実際、艦これアーケードが海戦ゲームとして詰めた結果、演出を盛ったこともありひとつの海域を攻略するにはブラウザ版ほどの所要時間ではまず終えられない(勿論あれはあれで違う良さがある)。
ウォーゲームのデジタル化という観点から見ても、時間のかかりそうな部分は大半を簡略化か自動化しているのでテンポが速い。自分で操作する分が増えるとゲームは重くなるのだ。自分で動かせないから勝てないと思ってしまうかも知れない。だが、排除しているからこそこのテンポと言える。

海戦の中身に関して「運ゲー」と言われる点も、運ゲーだからこそ編成が理想通りでなくても抜けられる穴があるとも言える。でなければ必ずまるゆを連れていくとか明石を連れて行くとか、6隻ないしは12隻を満たしていない欠けた状態での西村艦隊で攻略などという変則的かつ変態的な攻略がこうも出ようはないだろう。
またその運自体も昔に比べると「ダイスの面積自体を "ある程度" 細工して当たりやすくする」ような方向で改修されて来ている。それでも難しければ、期間限定イベントも現在は難易度が4段階となり、最も下の丁ならネームド装備がなくても何とかなるし、丁と丙は出撃海域縛りもなく常に自身のベスト編成で挑める。
ある種古くてシンプルで雑なシステムであるからこそ余地があり、なんとかなるし、自分の都合に合わせて取り組める。自鎮守府の程度さえ見誤らなければ、自分のペースに合った付き合い方というのが出来るようになっている…と思う。

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幾多の期間限定イベントの中で印象深かったのは、空母シャングリラを追撃した結果たどり着いたのがビキニ環礁だった2016年秋、初の前後編構成となった2017秋~2018冬のレイテだろうか。
2016秋は海域バナーのインパクトが過去最高に強烈で、ビキニ環礁は艦艇が核実験「クロスロード作戦」の材料にされた場であり、副題の「渚を越えて」も核戦争後を描いた小説「渚にて」が元ネタと言われている。何をどう見てもバナーが指し示すは核爆発そのものだ。そこにほぼ直接と言っていいほど触れるのだな…と海域概要を見て思った記憶がある。
また史上初の連合艦隊vs連合艦隊が実現したのも2016秋だった。

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レイテでは前編における山城の録り下ろし「邪魔だ…どけぇぇぇぇ!!」という、お前が主人公かと言わんばかりの叫びが、越えられなかった過去を何が何でも乗り越えるという気迫を感じさせた。後編では瑞鶴がこの時だけ陣羽織を着込み髪を下ろし決戦modeとして戦場に立った。いつものおちゃらけた雰囲気は感じさせない。
永遠に実装されないのではないかと思われた友軍艦隊が仮実装され、イベント踏破時にボーカル曲を丸々1曲エンディングテーマ扱いで割り当てたのも2018冬のみである。半ば傷つきながらも駆けつけ一撃を食らわせていく友軍艦隊の存在は、ぎりぎりの勝負をしているところで頼もしさを感じさせてくれた。

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艦これに文字で読ませるタイプのシナリオは作戦概要説明程度しかない。そのため何かを語るには体験させることが主軸となり、そのアプローチとして史実を絡め史実を越えていくのをひとつのテーマとしてきた。
豪勢な演出が出来ようはずもなく、ゲームテンポを著しく狂わせない範囲でドラマチックに見せようとするにはどうしても限度がある。そんな中ここに挙げた3つはその取り組みがよく出来ていたと思う。

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数日後には第2期が開始される。
望外に長期間運営となったので継戦能力を備えるというのが2期移行の趣旨とのことだ。通常海域は各方面第1海域以外が全てクリアフラグリセットとなり、まずそれらをクリアし直すことから始まる。

この先どこまで続けられるだろうか、というのは既に答えが自分の中に出ている。サービスが閉じるまでずっとだ。艦これを通じて知ったことというのが本当に多く楽しいのに、それを手放す理由がどこにあろうか。
いつかオンラインゲームとしてのサービスが終了する日はやってくる。それも心配はあまりない。サービスが終了しても現実世界に戦跡は残り続けているし、過ぎた現実世界の歴史は横たわり続ける。折に触れて思い出す機会なんていくらでもあるのだ。艦これ最大の武器がリアルへのフックであることがここで活きてくる。艦これ最大の武器がリアルへのフックであることが本当に活きてくるのはサービスを閉じた後かも知れない。
それは艦これ運営自身が願っていたことでもある。在りし日の艦艇の存在を忘れないでいて欲しいと。そのためのガイド役としての艦娘の存在。


5年プレイを続けて来た答え。
それは生きる限りずっと残る存在に出会えたこと。
今はまだ航海の途中。少しだけ新しい船旅を、ここから始めよう。