還る理由

SAO O.Sを封切初日に鑑賞。
良くも悪くも思っていた通りの出来だった。驚いたのはスタッフロール後の最後のカットくらいだと思う。
それはさておいて。

作中、ARゲームの台頭によりALOやGGOをはじめとする完全没入型VRゲームのプレイヤー人口が減少していく描写が何度も見られた。そんな描写の中で「またみなさんが還って来ることを」云々と、発言しているシーンがある。
残念ながら、きっとそのようなことにはならないだろう…と思いながら観ていた。


非常に勘違いしやすいが、同じ界隈にいることが同じ意味での好きな集まりではない。その中には「コンテンツの世界観が好き」もあれば「流行ってるものが好き」「人と触れ合えるから好き」「ぶっちゃけただの腰掛け」まで含まれる。単にゲーム好きと言っても格ゲー好きから音ゲー好き、シューターまで様々いるように。
この中で「一時的に離れてもまた戻る」のは、そこに戻らなければならない唯一無二の理由がある場合のみだ。人が目的ならその理由にはなりえない。そこに戻らなければ得られないものとは、そこにしかない特徴…コンテンツ自体の特徴や世界観。そのレベルで好きな人というのは、決して多くはない。現実を見てもソシャゲやアニメの流行り廃りなどは極端で、まるで民族移動のような大規模な変化がしばしば発生する。
世界観レベルでの好きとこの民族移動の様子を、同じ「好き」で括るのは余りにも乱暴というものだ。

人が減ってしまった側に残る者の願い自体はとてもわかる。しかしそれほど人は良心のみで動いたりはしないし、そしてコンテンツに根ざす理由を持たぬ者には、その願いすらも届かない。仕方がないが、流れとはそういうものなのである。
どこまで意図してああいう描写を入れたのかは不明だが、個人的には印象に残ったシーンだった。


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5年後、10年後、自分は何を語っているだろうか。
その時に5年前、10年前のことを「忘れた」で済まさないようではありたいと思う。